友人の保険の支払い総額は、なんと25,270,000円。
教官は「この金額が、この商品の“値札”なんですよね。保険に契約するということは、この金額の“買い物”をするという事なのに、こんな高額な商品に“値札”を付けずに売り“値札”を見ないで買ってしまうなんて・・・実におかしな事だと思いませんか?」と言いました。聞いている友人にわかりやすいように、こうした表現をしたのでしょう。
前に、私にはこんな風に説明していました。
「以前、保険のセールスを長年やっている人に“値札”をつけない事について“あなただって主婦として買い物をする時は、たとえ2000円の買い物だって、値札を確認するでしょう? 自分が売っている生命保険という商品だけは特別だと思うのですか?”って聞いてみたことがあるんだよ。そうしたらその人、最初は困って言葉が出なかったんだけど、その後“保険は違うんです”って言い張るんだよね。それからはもう、自分のカラに閉じこもっちゃって、まともに話が出来ない状態。“じゃあ何故保険だけは違うんですか”って聞いてみたら“助け合いです”・・・もう困っちゃうよ。だって、保険ってカタチのない物でしょう?明確なのは数字しかないじゃない。しかも契約でしょう?それをきちんと数字で提示しないなんて、日本でしかありえない状況なんだよね」
まったくその通りです!さらに教官の説明は続きます。
「この保険の最大の問題点は、25,270,000円のお支払いに対して、65歳の時点で無事生存の場合は、以降、80歳まで800万円の保障。80歳以降は300万円の保障。つまり無事なら大損ということになってしまう点なんですよ」
友人は「それはイヤだ!」と間髪入れずに答えました。私も絶対にイヤです。皆さんもそうでしょう?
すると教官、
「そうでしょ、イヤですよね。僕もイヤです。だから僕の保険はこうした設計にはなっていませんよ。私の保険は、無事長生きできたときには“無事でよかったね”で済む設計になっています。対して、あなたの保険は、65歳時に無事生存の場合には約1700万円、80歳を無事迎えれば約2200万円の損失が確定してしまう“無事なら大損”の設計になっているんです。本来、生命保険というものは“万一の際の金銭的リスクを減少・回避”そるために、高いお金を払って契約するんでしょ? ところが、この保険の場合、保険設計自体に、大きな“金銭的リスク”を含んでしまっている・・・これはマズイと思いますよね」
以前、教官が言っていました。
「これが、日本における多くの生命保険の最大の問題点なんだよね。ところが、前にも言ったように、私がこんな当たり前の事を、きちんと数字をあげて説明しても、大手生保のセールスさんたちは“保険なんだから仕方がない”なんて、ムキになって言うんだよね。もう可哀想になっちゃうよ。実際“無事でよかったね”の設計が出来るんだから。それを知らされずに“保険とはそういうもの”としか教えられていないから、自分の子どもにまで、あんな保険を販売しちゃうんだよ」
本当にひどい話です。
ここまでで出てきた問題点は4つです。
●1つ目
自動更新で保険料が上がること。それも現実的には払うことができないような金額まで。
●2つ目
65歳以降も保険料の支払いが必要なこと。これも現実には払うことが不可能と思われる金額です。
●3つ目
支払い総額が2500万円以上になり、しかも、その金額がどこにも書かれていない。
これ、どう考えてもおかしいですよね。
●4つ目
2500万円以上のお支払いに対して、65歳からは800万円、80歳からは300万円の保障額となり、無事ならば“大損(=保険会社はものすごく得)”が確定してしまうこと。
もちろん、そんな設計をしなくても済む方法はいくらでもあります。
「そして、もう一つの大きな問題点は、この契約の“保障額”です。先程、必要な保障額の話をしましたよね。この契約では、ご主人が病気で死亡の場合、65歳まで4500万円の保障となっていますが、もし、今、ご主人に万一のことがあっても、あなたは独身時代と同じ職場で仕事をしているのですから、精神的な問題はともかくとして、金銭的には独身時代に戻るだけ……さて、今のご主人に4500万円もの保障が必要ですか。これでも“結婚したら大きな保障が必要”だと思いますか?」
友人は「全然必要じゃないです」と答えました。
「そうでしょ。大体、この契約の定期特約3700万円は、考え方としては“お子様のための保障”ですよ。ところが現在はまだお子さんはいない。対して自分と奥様のための保障である終身保険部分はわずか300万円。非常にバランスが悪いことは明らかですよね」
売る側の知識のなさが、こんな保険を自分の子供にも勧めてしまうんですね。
「さて、現在の保険について、今までに5つの問題点を挙げました。この5点が、現在の日本のほとんどの保険契約において見受けられる非常に大きな問題なのですよ。以降の問題点は、個々の契約については必要なことなので、順を追って説明しましょう」
無事に定年退職まで勤め上げたら大損してしまう保険・・・横で聞いていて私も「えぇっ!?」と青ざめてしまいました。自分の夫がそんな保険に入っていたら、良からぬことが脳裏によぎってしまいそうです。だからこそ、教官の言う“無事でよかったね”設計がとても腑に落ちて、その後の私は生命保険の勉強にのめりこんでしまったのです。
(続く)
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