教官による、正しい保険の見直し方とは①

生命保険の正しい見直し方

 さて、いよいよ保険の見直しです。教官はまず、コンサルティングの冒頭で使用した“必要保障額の推移”の図を再度取り出しました。
「先ほど説明しましたように、現在はご夫婦2人だけですから、お子様のための保障は不要です。つまり、今必要なのは“自分および配偶者のための保障”と“医療保障”ということになります」
「保険は“自分と配偶者のための保障”と“お子様のための保障”の2つに部分に分けて考えると、合理的な設計をすることができます。考え方は“自分と配偶者のための保障→終身保障が必要”“お子様のための必要→一定期間の保障が必要”となります。ですから、現在はお子様のための保障は不要なわけですから、必要なのはご夫婦共に、終身保険と医療保険ということになります。ということで、まず、ご主人の終身保険をご覧下さい」

 と言って、教官は保険の設計書を提示しました。保障額1000万円、65歳払込終了、月々の保険料は約15,000円。設計書には払込の総額がきちんと表示されています(考えてみれば当然の事なんですけどね)。支払総額は6,300,000円。解約返戻金は60歳の時点でお支払い総額と同額になります。
「1000万円という保障額を提示した理由は、私自身が、生命保険加入時に、必要な保障額を算出してみたところ、65歳時点での必要な保障額が約2000万円になっていました。そこで私は、生命保険での準備額を1000万円に設定したのです。ですからコンサルティングの際にも自分の契約額である1000万円を基準に、提示させていただいているのです」
 なるほど、教官自身の保険契約を基準にしてくれるのは心強いですよね。
「この終身保険は、お支払い630万円に対して生涯1000万円の保障。保障が無事不要となって解約しても、65歳の時点では、お支払いの金額以上の返戻金があるのですから“無事で大損”という保険設計とは全く違いますよね」

 教官の説明は続きますが、一旦整理すると、子供のいない友人のご主人(30歳)にとって現在必要なのは、
 ・自分及び配偶者のための保障である終身保険
 ・医療保険  
 の2つだけです。

 そこで教官がまず提示したのは終身保険1000万円でした。65歳払込終了で、生涯1000万円の保障が継続します。保険料は月約15000円ですから、トータルのお支払い金額は約630万円になります。もちろんこの「支払総額(教官はいつも“値札”と言っています)」は設計書に記載されています。それも、各年ごとの支払額、保障内容、解約返戻金が、ズラーッと表になって。

 そして、その表の右端には「払済保険金額」という項目があります。
「この欄の見方について説明しましょう。この“払済”というのは“途中で保険料のお支払いを中止した場合の、以降の生涯の保障額”を示しています」「例えば10年目のところを見て下さい。この時点であなたは保険料を180万円払っています(月1.5万×12×10)。この時、あなたの家庭に、以降の保険料を払いたくないような事情が生じたとしましょう。その時、解約すれば“解約返戻金”の欄の金額が戻って来ます」
「しかし“解約金は今はいらない。払った分だけの保障を確保したい”という場合には、この“払済”の欄の金額なら生涯の保障しますよ、という意味の数字なのです。10年目の払済の金額は、支払い額180万円に対して270万円。必ずしも、払込終了時まで保険料を払わなければならないわけではないんですね。生命保険は、途中で保険料の支払いを中止しても、解約せずに、払った分だけの保障を確保することができる・・・これが“払済”という方法です。」

 友人はこのシステムに大いに感心していました。
「これ、すごいですね! 2年目の時点で、支払いの金額よりも払済にした場合の保障額の方が多いですよ!」
 教官はこう言いました。
「そうなんですよ。だから、極端な言い方をすれば、ごく早期の解約以外は“保険で損をする”などという事態を招くことはないんですよ。ところが、大手生保のセールスさんは、会社から教えられたままに“損をしても保険なんだから仕方ない、保険を損得で考えてはいけない”なんて思い込み、自分のお子さんにまで“無事なら大損”の保険を販売してしまう・・・まったくひどいものですね」

 友人は、さらにこんな質問をしました。
「でも、義母はこんな“払済”なんて説明、してくれませんでしたよ。何故なんですか? この(現在契約中の)保険では“払済”は出来ないんですか?」
 教官の答えはこうでした。
「そんなことはありません。“払済”はすべての保険に共通の機能ですから。それなのに大手生保のセールスさんが説明しない理由は3つあります。最初の理由は、会社にとっては儲からない方法だから。会社がセールスさんに、正しい“払済”の使い方を教え
ていないから、こんな大事で基本的なことすら、設計書のどこにも記載されていないんですよ!2つ目の理由は、大手生保で販売している、会社ばかりが儲かる掛け捨てのセット商品の場合、“払済”が有効に使える設定になっていないんです。そして最後の理由は、会社もセールスさんも“払済”なんてどうでもイイと思っているから、ほとんど忘れてしまっているんですね。実際、設計書にも記載されていないし、お客様に説明もしない訳ですから」

 教官の話はまだまだ続きます。

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