生命保険のコンサルティングの実況中継のコーナーです。私の友人(大手生保のセールスをやっているお義母さんから保険に加入。絶対解約できないと言っていたのに、わずか30分で解約を決意した)への、私の先生のコンサルティングです。無事コンサルティングは終了。ご興味ある方は是非バックナンバーをご覧下さい。現在はその後のエピソードをお送りしています。
教官、話しているうちに少々エキサイトしてきました。その様子を見て、お義母さん、またも消沈です。
「・・・そうですよね。私の会社でも、保険金の支払いなんか滅多になかったですし、言われてみれば、保険金を支払うのが当たり前で、保険金を支払ったことがある人が、さもすごいことをしたようなことを言う事自体、おかしな事ですよね・・・」
そう言われて、教官、自分の興奮に気付いたようです。
「・・・いや、わかっていただけてうれしいですよ。・・・話を戻しましょうね。1世帯あたり受取の平均額284万円。これ、ちょうど定期付き終身保険の終身部分マイナスαぐらいの金額ですよね。簡単に試算してみたわけですよ。100人の契約者が居たとして、そのうち1人が4000万の保険金を受け取る・・・これは、定期付き終身保険の定期特約の満了時(多くは60歳または65歳)での死亡率および、満了に近付くと4000万もの高額保障を維持する人がほとんどいないことを考えれば、妥当な数値だと考えられると思うんです。残りの99人、この人たちの終身保険の保障額が平均で300万と仮定して、99人中70人の人が、払込終了まで保険を続けたとしましょう。その条件で計算すると、100人全体の受け取る金額は、1人あたり平均で250万円になるんですよ。どうです?284万円に近いし、現実的な試算でしょ」
「ホント!そんなもんですよね、きっと!・・・でも、今、私、よくわかりましたよ。私たち大手のセールスって、本当に自分では何も考えず、会社に言われたことを鵜呑みにしてわかったような気になって。こんな試算をしてみようなんて考えてもみませんでしたよ・・・」
お義母さん、ものすごく納得。そして感心しています。教官の話はいよいよ佳境です。
教官の試算では、100人の契約者のうち、1人が早期に死亡して4000万の保険金を受け取り、70人が定期付き終身保険の終身部分300万円を受け取ったとすると、1人平均の受取額が250万円になる・・・これは実際の統計数値である284万円に近く、大手生保のセールスレディであるお母さんも納得の数値です。
「この試算を踏まえた上で、保険会社の利益率をさらに上げるためにはどうしたらよいか。4000万の保障を受け取る1人は、こういう言い方は適切ではありませんが“仕方ない”んですよ。もっと高額の保障を売った方が、保険会社は儲かるんですからね。 とすると、あとは簡単ですよね。定期付き終身保険の終身保険部分を受け取る70人、この人たちの受取金額を下げるしかないんですよ。わかりやすく言ってしまえば、定期付き終身保険の終身保障部分をゼロにして、入ってくる保険料は変わらないようにすればいいんですよ。どうです、もうおわかりでしょ?あなたの会社の今の主力商品、まさにこれじゃないですか?」
このときのお義母さんの表情、ものすごかったですよ。言葉では表現できないくらい。口をパクパク、アワアワアワ、目はパチパチパチ・・・言葉は思うように出ず、手が上へ下へ・・・ホント、今考えると一瞬のことなんですけど、下手な俳優が驚いた演技をしているようなオーバーアクション!とにかく衝撃だったんでしょうね。
ようやく落ち着いたお義母さんですが、やはり言葉も出ません。教官は言葉を続けました。
「こうしてどの大手生保も“新しい”とか“画期的”とか言いながら、定期付き終身保険の時と同様、各社ほぼ横並びの、より利益率の高い保険を、現在一斉に販売している、こういうわけなんですね」
なるほど、よーくわかりました。
(続く)
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