生命保険のコンサルティングの実況中継のコーナーです。私の友人(大手生保のセールスをやっているお義母さんから保険に加入。絶対解約できないと言っていたのに、わずか30分で解約を決意した)への、私の先生のコンサルティングです。無事コンサルティングは終了。ご興味ある方は是非バックナンバーをご覧下さい。現在はその後のエピソードをお送りしています。
「転換した場合としなかった場合の保険会社の利益率を計算して確認してごらんなさい」
お義母さんは結局その計算が出来なかったので、後日、教官は私の前で試算をしてくれました。数字を見て納得。なるほど、転換って保険会社にとって非常においしいシステムなんですね。納得した私に教官は1枚の資料を見せてくれました。
「これは1996年と1997年の全生保の“個人純増加保険料”のランキング。生命保険会社の場合は銀行と同じで、新契約もあるけど解約や満期もあるから、1年間で保有契約がどれだけ増減したかの表なんだけどね。この、96年から97年という年は、生保業界において3つの大きな出来事があった年なんだよ。」
「余談になるけど言っておこうか。まずこの年に生損保の兼業が解禁になって損保会社が参入し、一気に生保会社の数が増えた。2つ目は日産生命の破綻。初めて保険会社の破綻があった年だったんだよね。そして3つ目は衝撃的なランキングの変化。96年のランキング首位は日本生命で、これはもう何十年も続いた不動の首位だったのが、97年にはついに1位ソニー、2位プルデンシャルと、首位の座から陥落するんだよ。じゃあ日本生命は3位かと言うと全然違う。ほら、最下位の方に96年まで上位を占めていた大手漢字生保がズラーッと並んじゃってるでしょ。この年以来、従来型の営業を続ける大手生保の保有契約は減るばかり。増加に転じる気配の全く見えない状況のまま今に至っている……そうした年だったんだよ。」
「で、ここで注目すべきは96年までは上位にいた漢字生保の数字。97年には営業成績が最下位の方にまで落ち込むんだから、96年にもその兆候は見えている。ほら、保有件数の数字を見ると、どの大手漢字生保も大きくマイナスしてるでしょ。でもね、ここなんだよ、これ・・・よく見てごらん。何故かどの大手生保も保険料収入はプラスなんだよ!!これ、どう考えてもおかしいと思わない?普通、これだけ件数がマイナスなら、収支だってマイナスのはずでしょ? 実はこれが“転換は保険会社が儲かる”って言ったことの証拠なんだよね」
1996年の生保各社の業績ランキング表。この年、大手生保は、保有契約件数は大きくマイナス(新契約より解約の方がはるかに多い)なのに、なぜか収入保険料はプラス。銀行で口座解約者がたくさん居たのに、預金高が増えているのと同じことです。
「件数が大幅に減っているのに収入は増えている。この数字から“転換”によっていかに保険会社が儲かるのかがわかるんだよ。わかりやすく言おうか。例えば10件の新契約があって15件の解約があったとしよう。これが単純な新契約と解約だったら収入は減るのが当然だよね。ところが実際には収入が増えている。そのワケは、この新契約10件、解約15件の中には新契約と解約が同時に起こる“転換”が、かなりの割合で含まれているからなんだよ。例えば8件は転換だとしようか。そうすると、本来5件の件数マイナス分で減るはずの収入を、8件の転換によって増える収入が補ってあまりあるってことだよね。そう考えなきゃ、こんなに保有件数が減っているのに収入が増えているという事実の説明がつかないでしょ?」
「つまり、転換は新契約と解約が同時に起こることだから、収支のプラスマイナスはほぼゼロと思ってしまいがちだけど、実際は違う。転換における保険会社の収支はものすごくプラスになるっていう事なんだよ。もっと分かりやすく言おうね。例えば少しずつ貯めた貯金が50万円あるとする。そこに保険のセールスさんがやって来て“その50万を一時払いすれば、以降の月々保険料が安くなりますよ”って言ったとしよう。でも、ほとんどの人は折角貯めた50万円を保険会社に払ってしまおうなんて思わないでしょ?転換はこの貯まっているお金を“下取り”なんていうあやふやな言葉で、契約者に一回戻すことなしに新しい保険に全部注ぎ込んじゃうわけよ。だから月々3万の保険に契約したと思っていても、実際は最初の月は53万円払っていることになるんだよね」
あっ!!そういうことですね!!教官の話は続きます。
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