生命保険のコンサルティングの実況中継のコーナーです。私の友人(大手生保のセールスをやっているお義母さんから保険に加入。絶対解約できないと言っていたのに、わずか30分で解約を決意した)への、私の先生のコンサルティングです。無事コンサルティングは終了。ご興味ある方は是非バックナンバーをご覧下さい。現在はその後のエピソードをお送りしています。
お義母さんとの話の数日後の、教官との“転換”についての話の続きです。
「つまり、月々3万の保険に新しく加入したと思っていても、50万円の解約金のあった保険から転換した場合、実際は最初の月に53万円払っていることになるわけよ。これだけでも保険会社は収入が増えるよね。しかも、この50万円を貯めるために払った保険料は、従来の“定期付き終身保険”の場合、通常その何倍にもなるわけでしょ? 保険会社にしてみれば、転換した時点で前の契約は終了。数百万の保険料を払ってもらって、無事その人は生存していたわけだから、契約者に支払う金額はわずか50万円の解約金だけで済む。しかもそのわずかな解約金すらも新しい契約に全額払ってもらえる・・・どう?ホント、保険会社にとってはオイシイでしょ。」
新しい契約にお得に入れると誤解していた方、とても多いのではないでしょうか・・・大手生保セールスのお義母さんでさえ、なぜ転換が契約者にとって大損になるか理解していなかったのですから。でも、こうして教官の指導を受け、知ってしまったら絶対にやっちゃダメだって分かります。
「だから大手生保会社はセールスさんに“転換しなさい”“転換はお客様のためになる手法です”なんて指導をするわけ。転換を繰り返せば繰り返すほど、保険会社の収入は増え、そして利益率も上がるから。朝日新聞が広告料収入に大打撃を受けるのを覚悟で、数ヶ月にもわたって転換弾劾キャンペーンを強行したのも納得できるでしょ?」
なるほど、なるほど。これでよーくわかりました。なぜ大手生保が転換をあんなに擁護するのか、なぜ雑誌や新聞が転換を広告料収入を引き換えにしてまで問題にするのか、なぜ教官が転換を批判するのか。“予定利率の問題は転換の内包する問題のごく一部でしかない”と教官が言っていた理由もしっかりと納得できましたよ。
さて、そろそろ教官とお母さんとの会話のシーンに戻りましょう。教官が“転換の最大の問題点は、転換をした方が保険会社の利益率が高くなる。実際に計算して確認して見て下さいよ”と言った所までお伝えしていました。
「でもね、転換がすべて悪いわけじゃないんですよ」
お義母さん、驚きの表情です。
「えっ、そうなんですか! どんな場合には悪くないんですか?是非教えて下さい!」
教官、お母さんの様子に笑って答えます。
「あなたはどんな場合だと・・・って聞くのはもうやめましょうね。私、いろいろなケースを考えて見たんですけど、現実性があって、しかも転換が有効というケースは2つぐらいしかないでしょうね」
「2つしかないんですか・・・」
「その2つだってあんまり遭遇しない状況ですよ。まず考えられるのは、子供が急に増えた、例えば5つ子が生まれたとか。それで、必要な保障額が急に増えたけど家計は一気に緊縮財政となるから保険料を押さえたい。そこで今まで契約していた終身保険1000万を定期保険に転換する。これなら納得できますよね。」
補足説明をしておきましょう。定期保険は“掛け捨てで安い”保険。だから、それまで契約していた終身保険の解約返戻金が貯まっていれば、その解約金を新たな契約の定期保険に充当することで、月々の保険料を押さえつつ、今までよりも高額の保障を確保することができるというワケです。
「もう1つのケースは、脱サラして事業を始めた。その資金を親戚に借りた。その借金分の保障額を増やさなくてはいけないが、事業を始めたばかりだから当面の出費は押さえたい。そこで今まで契約していた終身保険を定期保険に転換する。これも納得できますよね。多少なりとも現実に起こり得る状況としてはこんなケースでしょうね」
あれ、お義母さん、何だか納得の行っていない表情です。
(続く)
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