学資保険の基礎知識(1)

学資保険

さて、今回から新展開です。たくさん頂戴した質問の中から数の多かった質問をピックアップし、そのポイントを解説していきたいと思います。第1弾は非常にたくさんの質問をいただきながら、今までの話には出てこなかった「学資保険」についての解説です。

<質問>
 学資保険を見直したいのですが、どのようなポイントに注意したらよいでしょうか?
<解説>
「学資保険」という保険の種類はありません。学資保険の本体は「養老保険」です(バックナンバー「3つの保険」参照)。そこにお祝い金や入院給付金などのオプションを付けた商品名が「学資保険」なのです。
 さて、学資保険の加入目的は何でしょうか。もちろん「教育資金の準備」つまり「貯蓄」でしょう。だったら保険なんか使わなくても銀行に預けたって同じ!! ・・・ではないんですね。
 銀行預金はあくまで貯蓄した金額しか使えません。対して養老保険の場合は、万一、被保険者が死亡した場合にも、予定の貯蓄金額が保険金として支払われるという機能があります。しかし、学資保険の目的はあくまで「貯蓄」でしょうから、見直しの最大のポイントは【お支払の保険料の総額(月々の支払×12ヶ月×保険期間)と、もらえる金額(お祝い金+満期金)を比較する】という作業を行うことです。

 ところが、「学資保険は貯金ですから・・・」なんていう低レベルなセールスの言葉を信じて、実は支払総額の方が、もらえる金額よりも多かった・・・というケース、すごく多いんですよね。それに気づいて文句を言うと「保険はそういうものですから」なんて開き直るセールスや会社もあるんです。
 でもそれは大間違いです。正しい学資保険は決してマイナスなんかしないんですから。積み立てた金額よりももらえる金額がマイナスの保険に加入中のご家庭は、念のため、全ての保険の見直しをお勧めします。マイナスする貯蓄商品なんて話になりませんよね、ご注意ください。

 さらに、こんな質問もありました。

<質問>
 学資保険の被保険者は誰なのでしょうか?
<解答>
 通常、学資保険の被保険者は「お子さん」か「両親のどちらか一方」です。しかし、よく考えて見て下さい。保護者に万一のことがあった場合に、予定の貯蓄額が保険金として支払われる、あるいは保険料の払込が免除になるという機能があるから保険で貯蓄を行う意味があるんですよね。だから、親が被保険者であるのは当然です。
 一方、お子さん本人が被保険者である意味って、あると思います?お子さんに万一の事があっても保険金は不要ですし、そんなお金、欲しくないですよね。だからお子さんが被保険者になっている学資保険は良い商品とは言えないんです。
 正しい学資保険の場合、被保険者は親だけに設定されています(被保険者が2名であっても、お子様が万一の場合は今までの保険料をそのまま返す設定の学資保険もあります)。

<質問>
 アドバイスを受けて計算してみたら、支払う金額の方がもらえる金額よりはるかに多くてビックリしました。早速解約しようと思ったのですが、今解約すると損でしょうか。ちなみに18年満期で9年経過。今解約すると100万円の解約金ですが満期時まで我慢すれば200万円もらえます。

<解答>
 数字は分かりやすいように入れ替えてありますが、これは単純な計算で損か得かが分かります。
A)100万円-今まで払った保険料
B)200万円-満期までに払う保険料
 この差を比べてみるだけです。するとBの方がAよりも2倍の無駄なお金を払うことが分かるでしょう。マイナスしてしまうよう学資保険は、続ければ続けるだけ損が大きくなるということなんです。
(続く)

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ABOUT US

証券会社に勤務した後、税理士・社労士・FPなどの士業が法人をサポートする会社の事務員に転職した。当時、保険は全くの素人で、友人の勧めるままに加入していた過去をもつ。 社内の専門家と関わるうち、保険販売の資格がないにも関わらず、持ち前の探求心で保険に詳しくなりすぎてしまった。結婚、出産を経て、現在は在宅で全国の保険代理店の営業さん向けに、中立な視点で商品アドバイスをしている。