前回からの続きです。
<質問>
医療保険に加入しようとしましたが、パンフレットを見るとたくさんの特約がついていてよくわかりません。特約にも必要性の高いものとそれほど必要でないものがあると思うのですが、その優先順位を教えて下さい。
<解説>
続いて教官から「あくまで私見」のコメントをもらったのが「三大(七大・八大)疾病特約」と「女性疾病特約」。これらの特約を付けないと、生活習慣病や女性の病気の場合に給付金が出ないと誤解している人が多いそうです。これらの特約を付けると、該当する疾病で入院・手術した際には、特約分の割増給付があるというだけで、特約を付けなくても主契約分の給付金は支払われます。このことを踏まえて、あえて割増給付を受けたい・該当疾病にかかりやすいと思われる場合には検討すれば良いでしょう。
さらに「女性疾病特約」には生活習慣病が含まれている場合が大半です。また、帝王切開、妊娠中・出産後の体調不良等ももちろんカバーされますので「若い女性への給付は結構多いよ」と、教官は言っていました。
続いて「通院特約」。これも誤解している人が非常に多いそうで、通院すれば給付金がもらえると思っている人が意外に多いようですが、あくまで退院した後の通院治療に対して給付されるものです。
これについて教官は「これはイラナイと思うよ」と断言。理由を聞くと「周りの人間も含めて、この特約の給付金請求の業務をしているのを見たことがないから」。
そこで3人の教官に「通院特約の請求を受けた事があるか」と聞いてみたところ、3人で通算25年の保険業務経験の中で、請求事例はたったの2件。これなら必要ないと思うのも当然ですね。「大手漢字生保の入院特約には、この通院特約がセットになってい
ることが多いけど、わずかな保険料とは言え請求なんて無いだろうから、ほとんどの場合、無駄だよね」と言っていました。
医療保険に付加できるさまざまな特約の中で代表的なものについてのコメントは以上ですが、特約とは別に、検討の際の重要なポイントとして「入院給付日数」があげられます。これは「1つの入院に対して連続何日まで給付金が出るか」の規定ですが、大手漢字生保や郵便局などの場合は120日までが基本的な設計です。
しかし、教官曰く「医療保障はあくまで中・長期の入院に対する保障準備。例えばサラリーマンの場合、社内規定で3ヶ月程度は給与が保障される。雇用保険だって使える。自営業者だって程度の差こそあれ、ある程度の期間までの入院だったら何とかなるんだよ。ということは、それ以上に入院が長引いた時に困るんだよね。いくら入院は短期化されていると言ったって、120日って4ヶ月。もしそれよりも長い入院になって、給料はカット、退院してもすぐに仕事が出来るかわからない、会社だって冷たいからそうした人を続けて雇ってくれる保障なんか無い、その上、入院給付金まで“ここまでで限度日数ですよ、もうこれ以上は支給しませんよ”になったら目も当てられないよね。だから、特約の検討なんかより、限度日数の検討のほうがずっと大事なんだよ」とのことでした。なるほど納得です。
120日限度の商品だけでなく、360日、730日、または生活習慣病での入院の場合は日数は無制限になる等、いろいろなものが出ていますので、特約であれこれ悩むよりは、その分の保険料で長期の入院にも対応できる商品を検討したほうがずっと役に立つな‥‥と思いました。
それにしても、保障性の保険と同様、信頼できるコンサルタントに相談し、基本的なことをきちんと理解することが一番大事ですよね。確かに商品の種類も、特約の種類もたくさんありますが「特約で悩んで訳が分からなくなる」事態に陥ってしまう姿勢にこそ問題があるのですよ。そうした「基本」が、やはり大切なのだな‥‥と改めて感じた次第です。
生命保険の正しい見直し方 書籍プレゼント!
質問・感想をお待ちしてます