すべての保険セールスに強く伝えたいこと(1)

知らなきゃ大損! 生命保険の基礎知識

 教官はいつもこんなことを言います。
「日本の大手生保は、根本的な問題解決をできないだろうな。だって、“売れない、何とかしなければ”と言ったって、そもそも粗利率が90%以上の商品を売ろうとするのが無茶なのに。それを今さら世界標準の粗利率0%には戻せない。一体どうするつもりなんだろうね。結末は見えてるのに」

 この「世界標準」のことについて解説しておきます。一見、専門用語解説の難しい話に思えるかもしれませんが、実は私が教官からこの話を聞いた時に、「目からウロコ」を味わえましたから、皆さんにとっても興味深い話になると思いますよ。

 生命保険会社運営の決まりごとの一つに「収支相当の原則」というのがあります。これは「保険会社は、受け取った保険料の総額と、契約者に支払う保険金や給付金の総額が同等でなければならない」というものです。こんな事を書くと「それじゃあ、保険会社は儲からないじゃないか」と思いません?私も最初はそう思いました。

 その時、教官はこんな風に言ったんです。
「あのさ、子供の頃、“銀行ってどうして儲かるんだろう?”って不思議に思ったことない?お金を預かって、利子をつけて返す・・・それじゃ、損しちゃうでしょ?」
 私、ボーっと生きてたんでしょうね。子供の頃にはそんなこと考えたこともなかったんですけど、言われてみれば、学生時代には銀行がどうやって利益を出しているかを聞かれても、答えられなかったかもしれません。

「生命保険会社だって金融機関。そう聞けば、収支相当の原則に従っても利益を出せるというのが、すぐに納得できるでしょ」
 そうですよね。しかも、生命保険の場合は、比較的長期にわたってお金を預かるのですから、そこからの運用実績で利益を出すのは当然でしょう。この「収支相当の原則」、生命保険募集人試験のテキストの一番最初の方に出てきますから、セールスさんは皆さん目にしたことがあるはずなんですよ。
 しかし実態はといえば、「1世帯あたりの生命保険料の総額が平均で約1500万、一方、もらえる額の平均は約250万。これは全然“収支相当”になっていないよね?」

 この事実から、生保セールスをしている全ての方に、2つのことを声を大にして伝えたいと思うんです。
 1つ目は「平明な視点で保険に接し、考えてほしい」ということ。
 例えば「商品にきちんと値札を付けて売る」・・・普段なら、他の全ての商品に対して、「それが当然」と思うでしょ?
 「1500万払って250万円もらえる商品、買います?」って聞かれたら「え~っ(何言ってんのこのヒト!?)絶対買いませんよ!!」と答えるに違いないと思うんです。

 でも、自分たちが販売している商品には値札が付いていないし、平均すると、1500万払って250万円しかもらえない商品を販売してしまっている人がいる・・・
 こうした問題提起を行なうと、平常心を無くして、「生命保険は別」と言い出したり、あるいは「あなたは素人だからそんなことを言うんだ」といった発言になるケースが非常に多いんですね。

 これは、会社が「生命保険とはこういうもの」としか教えておらず、会社にとって都合の良い教育しかしないからの結果なのでしょうが、平明な視点を持てば、こうした問題提起に対して、素直に考えることができると思うんです。「あなたは素人だから」と、業界の意味不明な慣習を当然のこととして、お客さんに販売してしまう・・・これって、とっても悲しいことだと思うんですよ。どの人だって、役に立たない商品だと思って売っているはずがないんですから。

 だから、平明な視点で考えて欲しいと思うんです。
「自分が消費者だったらどう思うか」「自分が生命保険販売にたずさわる前だったら、どう感じるか」
 もっと言えば、
「自分が販売している商品には、一体いくらの値札が付くのだろうか」「死亡率表と照らし合わせて、一体どのくらいの粗利率になるのか」
「代理店が販売している商品とはどんな違いがあるのか」「なぜ“収支相当の原則”が無視されているのか」
 そして
「自分はどれほど生命保険について知っているのか」「自分が販売している商品は、本当に契約者のためになるのか」
「成績は関係なしに、これがあなたの親や配偶者にも加入させたいものなのか」・・・って。
(続く)

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