友人の保険の問題点

知らなきゃ大損! 生命保険の基礎知識

 今回も、生命保険のコンサルティングの実況中継をお送りいたします。私の友人(大手生保のセールスをやっているお義母さんから保険に加入。絶対解約できないと言っていたのに、わずか30分で解約を決意した)への、私の先生のコンサルティングダイジェストです。

前回は、結婚したからといって、必要な保障額が増える訳ではないという事を、友人が納得したところまで説明しました。
教官の説明は続きます。
「・・・ということで、一般的には、結婚しても、必要保障額に大きな変化はないということは、おわかりいただけたと思います。その後、第一子誕生で、必要保障額は急上昇します。これも当然のことですね。そして、この必要保障額は、時間の経過に従って(“末子自立”の時点に向かって)徐々に減少して行きます。0歳の子供を20歳にするのと、10歳の子供を20歳にするのに必要な費用を比べれば、後者の方が当然少なくなりますから」
「そして、末子が自立すれば、またご夫婦2人の生活に戻るのですから、必要保障額も第一子誕生以前のラインに戻るというわけです」

 必要保障額の図では、この「第一子誕生前」及び「末子自立以降」のライン以下の細長い四角の部分がA。第一子誕生で急増する保障の三角形の部分がBと表示されています。図がイメージできるでしょうか?細長い長方形(これがAの部分)に三角定規が左下を直角に乗っている(これがBの部分)図になります。

「保険設計は、A・B2つの部分に分けて考えます。Aの部分は“自分および配偶者のための保障”ですから、“いつまで必要”という期限がありません。従って終身保険が必要になります」
「対してBの部分は“お子様のための保障”ですから、お子様自立まで、一定期間の保障で良いわけです。従って、定期保険、養老保険の一定期間の保険で準備するのが効率的ということになります」

 ここまで、必要保障額の図を文章で説明しようとしたので、少々わかりにくかったかと思います。ここからは、教官が指摘した、私の友人の生命保険の問題点を、わかりやすくお伝えして行きます。多くの方が似たような状況になっているとのことなので、参考になると思います。

<現在の契約内容>(友人のご主人:30歳)

・終身保険   65歳払込終了  300万円
・定期特約     10年更新 3700万円
・三大疾病特約   10年更新 500万円
・傷害特約     80歳満了 500万円
・災害死亡特約   65歳満了 500万円

・入院特約     10年更新 7000円
・三大疾病入院特約 10年更新 7000円


【毎月の保険料   約18,000円】
(内、約4000円が主契約の保険料)


【更新後の保険料】

40歳時  約30,000円
50歳時  約53,000円
60歳時  約90,000円

*65歳以降の保険料

・三大疾病部分

65歳~ 年約200,000円
70歳~80歳 年約450,000円

・入院特約と三大疾病入院特約部分
→ 65歳時一括支払い 約2,250,000円

以上がコンサルティングの前提となる内容です。プリントアウトしてご参照ください。

「さて、皆さん“保険の内容がよくわからない”とよくおっしゃいますが、保障の内容自体は、きちんと教えてもらえば、すぐに理解できます。必要ならば、契約中の保険会社のお客様相談窓口に電話して“○歳まで○○の保障”という様に、整理した形で教えてもらえばいいのですから」
「問題なのは“問題がどこにあるのかわからない”という、保障内容以外の部分にあることが多いのです。たとえば、今ではほとんどの方が理解しているようですが、特約部分の“自動更新”があります。この保険も10年の“更新型”になっていますから、10年毎に保険料が自動的にアップします。設計書に書いてありますね」
「今は保険料が毎月18,000円ですが、40歳時には30,000円、50歳時には53,000円、60歳時には90,000円にもなってしまいます。自動更新自体が問題というわけではありませんが、これを知らなければ大問題ですよね」

 友人は「ウーン、この金額、ここに書いてあっても、お母さんからは説明されていないし・・・でも、毎月5万とか9万とか払えるワケないし・・・」と困惑顔です。
「問題は“保険はこういうものだから”と思ってしまっている、あるいは売っているセールスさんがこれ以外の商品を提示しないところにあるんですよね」
「しかも、保険料に関しては、もう一つ大きな問題があるんですよ。この保険、65歳で払込終了となっていますが、実は65歳以降も支払いが必要になる契約になっているんですよ」
「三大疾病用の特約が付いていますよね。ここに小さな字で書いてあるんですが、この部分に関しては80歳まで支払いが必要なんですよ。さらに医療保障部分に関しては65歳に一括での支払いが必要なんです」

 友人はますます困惑顔で、保険証券を見つめています。

「え?65歳で保険料の支払いは終わりじゃないんですか?何歳まで払えばいいんですか?」
 友人は驚いています。
「ここを見て下さい。小さい字でわかりにくいですが、まず、この三大疾病用の保険は80歳まで更新されると書いてあります。65歳以降の保険料も、設計書のここに、ほら、小さな字で書いてありますよね」
「見て下さい、65歳から70歳までは年払いで約20万円。70歳から80歳までが年約45万円となっています」
「さらに、傷害特約・入院特約・三大疾病入院特約の保険期間は80歳まで。65歳から80歳までの保険料は、保険料払込終了時前、つまり65歳の時に“一括での支払いが必要”と書いてありますよね」

 その一括の保険料については記載されていませんでしたが、教官の概算では約200~240万円。後日、友人が保険会社に問い合わせて金額を調べたところ(実際は調べるのにも苦労したそうです。何故か、すぐに親切に答えてくれないんですよね。結局、問い合わせの方法についても、後で教官に教えてもらったら、すんなり答えが返って来ました)約225万円とのことでした。

「さて、現実問題として、この金額を払えるかということに目が行くと思いますが、それ以上の問題があるんですよ。この金額を全部足し算すると、お支払いの総額は25,270,000円になるんです。つまり、この金額が、この商品の“値札”なんですよね。保険に契約するということは、この金額の“買い物”をするという事なんですよ。こんな高額な商品に“値札”を付けずに売り“値札”を見ないで買ってしまうなんて・・・実におかしな事だと思いませんか?」

 友人の目からウロコが落ちるのが私にははっきり見えた様な気がしました。

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