私と生保セールスになった友人の会話の続きです。
「大体、この商品はそういう商品なんだから、それを細かく分けてあれこれ言うのが間違ってるんだよ。保険なんだから、そういう計算の仕方じゃないの」
「じゃあ、保険だとどういう計算になるの」
「そんなこと、わかんないよ。そういう商品なんだから、しょうがないじゃない」
「しょうがないって・・・私、わかんないから聞いてるんだよ!」
「素人だからそんなこと聞くんだよ」
「じゃあ、あなたはなんでプロなのにわからないの?保険に入る人はみんな素人なんだよ・・・それに、私、あなたを責めようなんて、全然思ってないよ。ただ、専門家の人に教えてもらって、それがすごくわかりやすくて、納得できて、すごい!って思ったから・・・だから、あなたに教えてあげようと思ったの。そうすればあなたの仕事の役に立つと思ったから・・・」
「・・・」
「ねえ、この話、あなたの役には立てないのかな?」
「そんなこと、会社で言う人、居ないし・・・それに、そんな計算なんかしたことないもん。お客さんに勧める時だって、そこまで詳しく言わないよ。お客さんにそんな質問する人、居ないしね。だから、あんたの話、悪いけど全然役に立たないよ」
「そっか、そうだよね。こんな質問する人、居ないよね。私だって、専門家の人に教えてもらうまでは何もわからなかったから・・・でもさ、会社に教育係みたいな人居るんでしょ?その人は、こういう事、教えてくれないの?」
「教育係はセールスの事しか言わないよ。数字がいくら足りないとか、あの人を見習えとか、とにかく頑張れとか」
「質問してみれば?」
「やだよ!」
「何で?」
「そういうこと質問すると、ものすごく怒られるの!前に同僚がね、マネージャーに言ったんだよ。“この商品の、この部分はおかしいんじゃないですか?”って。そうしたらいきなり怒鳴られたんだから。“そんなこと言ってるから成績が挙がらないのよ! そんなこと考えちゃダメなの!あなたのためなのよ、信じて売るしかないの!”みたいな感じで。ヒステリックに怒鳴られちゃってさ、もうすごかったんだから」
「そうなんだ。それじゃ聞けないよね」
「それに、聞いたってわかんないよ」
「そうなの?」
「そりゃそうだよ。会社でそんな計算なんかしている人、見たことないもん。教育係て言ったって、専門的なことなんか絶対わかんない」
「会社でそういう計算とか、しないの?」
「しないよ。そんなこと、考えた事もないし、会社じゃ絶対そんなこと話題にならないし。大体、計算なんて、何をどうしたらどうなるのか全然わからないしね。成績や給料の計算ならするけど」
「それじゃ、“支払い総額”の計算なんか、やっぱりしないんだ」
「何、それ?」
「トータルで支払う保険料だよ」
「しないよ」
「やっぱりそうなんだ。専門家の人がね、“それを言わずに売るのはおかしいと思うでしょ?”って言ってたから」
「だって、計算なんかできないよ」
「計算できないの?」
「そうだよ。あんたの保険だけなら計算できるけど、いつも売ってるヤツは、途中で転換するから難しいんだよ。そういえば・・・、前に同じこと聞いたかも、会社で。お客さんから“トータルでいくら払うの?それを教えてくれなきゃ入れないだろ”って言われたらしいんだよね。それで“どうすればイイですか?”って質問したんだよね。そうしたら、“銀行じゃあるまいし、そんなこと言う方が間違ってる! そんなこと言われるなんてのは、あなたが信用されていないってこと!”なんて怒られてたよ。ハハハ」
「私も言われて気付いたけど、やっぱりトータルの金額が書いてないのって、おかしいよね??」
「おかしくないよ・・・」
「何でよ! おかしいじゃない!」
「だって、そんなこと、当然じゃない。買い物じゃないんだからさ」
「買い物だよ!」
「普通の買い物とは違うでしょ!」
「どこが違うの?」
「・・・保険だからよ。商品じゃないんだよ」
「あなただって“商品”って言ってたじゃない!」
「そりゃ言ったかもしれないけど・・・保険だもん。形も何にもないんだからさ」
「でも、お客がお金払って買うことに変わりないんじゃない?」
(続く)
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